対象疾患 トゥレット症候群(Tourette Syndrome)

トゥレット症候群(もしくはトゥレット障害)とは自分の意志に反して手足や顔面などを動かしてしまったり、汚言・絶叫を発してしまったりする疾患のことを言います。こういった不随意運動はチック(tic)と呼ばれ、トゥレット症候群の特徴となっています。多くの場合は10歳頃に発症して思春期後に改善しますが、中には症状が持続して悪化を来してしまうような場合もあります。薬物療法や精神心理学的な治療が主に行われますが、重度の場合にはこれらの方法に抵抗性を示します。

トゥレット症候群の不随意運動(チック)がパーキンソン病や振戦などの疾患と違う点は、その複雑な動きにあります。この疾患における不随意運動は音声チックと運動チックに大きく分けられます。音声チックは汚言症(罵りや卑猥な言葉を発すること)や咳込み、そしてうなり声などとして表出し、運動チックは顔面の素早い動きや首振り、体をねじるような動きなどとして表出します。比較的ゆっくりで持続的な動きの場合には dystonic tic (ジストニックチック)とも表現され、ジストニアという疾患群の一表現型とも解釈されます(Jankovic and Stone, Mov Diord, 1991)。自分でもおかしなことをしているという自覚があるものの、自分の意志ではなかなか止められません。重症の場合はチックによって社会的生活が制限され、最悪の場合は生命の危険に脅かされることもあります。特に、頭を自分で殴りつけてしまうなどの自傷行為としてチックが出現している場合は非常に危険です。

パーキンソン病などと同様に、これらの異常な運動の原因は脳の基底核という体の動きを調節する部位の異常活動と考えられています。治療は内服薬や精神心理学的治療が中心ですが、効果が不十分な場合には脳深部刺激療法も治療の選択肢となります。私達の施設は、この外科治療についての経験のある国内では数少ない施設の一つです。トゥレット症候群に対する外科的治療の効果についての調査を倫理委員会の認可を得て行っています。

トゥレット症候群に伴う重度不随意運動症に対する脳深部刺激療法に関する前向き調査 (UMIN ID: UMIN000030592)
https://upload.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000034933

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